おおきな木になるまで

エントランス

「大きくなったら、何になりたい?」
そんな会話を、アトリエで子ども達と過ごしているとよく耳にします。

小学生時代の私は、帰りの会で、手作りの影絵を発表したり、一人芝居をしたり、手描きの新聞を配るような、人を楽しませるのが好きな子どもでした。
アニメが好きで、中学生の頃は漫画にハマり、将来は漫画家になりたいと思っていました。

高校生になるとインテリアに興味を持ち、インテリアデザイナーになることを夢見て海外のインテリアを紹介する雑誌を読み漁っていました。
高校二年生の時に、学校の美術の先生に「美大を受けたらどうか?」と勧められたことがきっかけで、美大に進むことを目指しました。大学では金属工芸科に入り、伝統工芸を学びつつも、在学中に出会った現代美術作家の講師の影響で、美術に関心を持ち始めました。

卒業後は鍛冶屋で、門扉や家具作りの修行をしていましたが、自分は何がしたいのかが分からなくなり、国内外へ一人旅に出ました。
その後、プロ作家のアシスタントをしながら、自身の表現制作に向き合う日々が続きました。

2004-2006年に関わった、国際アートプロジェクトにてイベントのピンチヒッターとして、子どもワークショップ企画を担当することになります。
実は、子どもが苦手だったこともあり、戸惑いもありましたが、引き受けることに。(川に捨てられた自転車を引き上げ、修理し、子ども達とペイントしてサイクリングに行く「Reサイクル」というもの。またその自転車は、このプロジェクトの各会場を行き来するためのツールとなった。)このワークショップが話題となり、地元の美術施設の職員の目に留まり、翌年からアートコーディネーターとして働くことになります。仕事の内容は、子どもを対象としたワークショップの企画や事業を担当することでした。子どもが苦手だった理由は、「子どもは鋭く、心の中を全て見透かされている気がしたから」でした。

ところが、そんな子ども達との関わりの中で、いつしか子ども達が、私にとっての “輝く存在” となっていきました。そして、子ども達はアーティストにより近い存在だと実感したのです。それは、 “鋭く、本質を見抜く力を持っている” ということ―

人生とは予測できないもの

だからこそ、子ども達には、自分で感じて、考えて、確かめて、一歩一歩進んでいってほしいと願います。
そして、おおきな木は、そんな子ども達と一緒に、さらに大きく成長していきたい―

創造アトリエ おおきな木
代表 :川﨑久美 2023年3月

外観

2022年11月にリニューアルしました

内観

アトリエの向かいは緑豊かな公園です

内観

壁に掛けられたお道具袋から子ども達の顔が浮かびます

スタッフ紹介

創造アトリエ おおきな木 主宰

川﨑 久美(かわさき・くみ)

美術家 ・ アートコーディネーター ・ 臨床美術士 ・ 芸術保育士

大阪芸術大学芸術学部金属工芸学科卒業。造形家・美術家としての活動後、2007年より埼玉県川口市立アートギャラリー・アトリアにてアートコーディネーターとして6年間勤務。主に子どもを対象とした展覧会やワークショップの企画・実施、学校とアーティストをつなぐ事業を担当。2013年より芸術造形研究所にて臨床美術(*)を学ぶ。

これまでの活動を通じて、多様な価値観や視点をもつアート(美術)に今後の多様な社会を生き抜くヒントがあると確信し、2014年4月より創造アトリエ「おおきな木」をopen。現在、幼児〜高齢者を対象に「自分らしく表現することの出来る場」を提供し続けている。一児の母。

*臨床美術(クリニカルアート)とは?

独自のアートプログラムに沿って楽しみながら絵を描く、オブジェを作るなどの創作活動によって心を開放し、脳を活性化させます。制作が終わると、参加者全員の作品を並べて語り合う鑑賞会があり、ここまでがひとつの流れとなっています。この一連のプロセスを「セッション」と呼びます。このセッションに一定期間参加し創作活動に取り組むことにより、参加者の集中力や意欲の向上、感情面での安定、社会性の改善などに効果が期待できます。
現在では、認知症予防や症状改善だけでなく、子どもや社会人、高齢者までと幅広い世代の方々に向けても実践されています。

(テキストは一部抜粋しています。さらに詳しく臨床美術を知りたい方は、日本臨床美術協会または、芸術造形研究所の公式HPをご覧ください。)

スタッフ

なーちゃん

 

モノづくり、音楽、古着、ソーイング、いろんなことに興味がある現役高校生です! 2014年からオープンしたおおきな木に今でも通っている一期生です。作ること、沢山の方と触れ合って新たな発見をすることが大好きです!視力がいいのでみんなの笑顔がよく見えます!小学生クラスにて時々スタッフとして入っています。